神無き世界の英雄伝

一言で言えてしまうが劣化銀英伝。リアリティ皆無。勿論設定がリアルじゃないとかではなくて、読者を納得させる要素に欠けてるという意味で。2ch辺りではイラストがどうのという話が出てたけど、本文はもっと駄目だから。
戦闘とかは頑張っているのが分からなくも無いが、キャラいなさすぎ。主人公2人と妹だけじゃ話しにならない。キャラが置かれている状況や背景設定は、地の文で連々とやられると読者がついてこないんで、普通モブキャラなりお偉いさんなりのキャラを使って説明するもんだけど、そういう戦闘シーン以外のキャラが皆無。というか戦闘シーン以外のシーンがスカスカ。
かといって戦闘シーンが優れているかといえばこれまた出来があまり良くない。CICの外はまるで人がいないんじゃないかというほど描写がないし(いやほんのチョロっと突撃艦の内部シーンとかは出てくるけどストーリーに全然絡んでないし)、参謀の意見は完全無視、電子妖精に一声かければ艦隊全艦が整然と陣形を組むって、司令官以外の人間が戦闘に参加する意味って全く無いんですが。そのくせ最後に何百万人も死んだとかってちょっと…。
天才とかって最初に言い切ってしまう割りに戦術もお粗末。ロイのは単に突破後に戦線突破拡大するための予備兵力を残しておいたってだけの話(まぁ少なくとも戦上手かも知れないけど)だし、レンの方なんてただ混戦に持ち込んだだけの行き当たりばったりで、桶狭間っぽいなぁ。けどこれを作戦とは言いたくないな。
何だか無理に白兵戦をさせようと考えた設定も穴だらけで、砲撃艦なんて用意しなくてもホーミング機雷なり自走機雷を撒いて挟撃すればいいじゃんとか、電磁波まで偏向させる重力子フィールド張りながらどうやって前方の確認が出来るんだとか、もう突っ込みきれないくらい。
戦争モノの先達としては榊大先生もいるというのに、なんでこんなレベルの作品がいまさら出て来るんだと、ちょっと担当のレベルを疑いますね。
なにより、帯を見てちょっと期待してしまった自分に腹立たしい。

神無き世界の英雄伝 (電撃文庫)

神無き世界の英雄伝 (電撃文庫)