彼女は帰星子女

彼女は帰星子女
著者:上野遊/イラスト:あかざ
発行:電撃文庫メディアワークス
ISBN:4840231834
評価:★★


「人類を代表し、宇宙人と友好条約を締結した」−アメリカ大統領の突然の発表に、世界に激震が走った。彼ら三種族連合移民船団−トリオンの宇宙船は数十年前から地球人類の調査を行い、各国政府と接触をしていたというのだ。
 だが平凡な高校生・芹沢望にとって、それは「直接は関係ない大ニュース」のはずだった。トリオンと地球人の間に生まれた美少女・絹が芹沢家にやって来るまでは……。
 地球の常識を知らないうえ負けず嫌いの絹と、ことあるごとに衝突してしまう望。だが絹の心の内に触れるうちに……。
 大胆な設定と、細やかな心理描写で描く、青春SFシリーズ第1弾。

今、あらすじを見てシリーズ化予定だと知りました。そうか、てっきり完結モノだと思って読んでたので、随分伏線が未回収だなと思えたのはそのせいか。
他の作品、特に他人の作品に例えるのは好きではないのですが、あえて言えばこれは「ご愁傷さま二ノ宮くん」でしょう。若干ヒロインの設定が異なりますが、展開的にほぼ一緒でしたし、きっとシリーズが続いても同じような展開をたどりそうで…。
「二宮くん」でもそうですが、とにかくこの手の主人公は受け付けないです。普段は自分の考えは譲れないってな感じの癖に肝心な場面でヘタレ化する…。読んでてムカムカして気分が悪くなります。あとむやみに偉そうなヒロインも。これはきっと彼女の父親は行政府の長であるとかいう隠し設定があるんだろうとはおもっていますが。後書きによれば恋愛モノとして書かれたようですが、恋愛部分はほぼ皆無(一方的な感情はありますが)、アクション部分も緊迫感がないので、なんとなくダラダラと流れて、ありきたりなラストという感じでかなりイマイチでした。
大胆な設定、細やかな心理描写は何処だ?(まさか主人公が一人でウジウジ悩んでるのがそうではないですよね?)
シリーズ化するならなおさら1巻は読者を引き込んでおく必要があると思うんですが、この作品にはそこまでのパワー(特にキャラの魅力とか)はないかなぁと。