敵は海賊・正義の眼
レギュラーキャラはみんなずいぶん丸くなっちゃったなぁ。ラテルはすぐにレイガンを抜き、アプロはなんでも喰い、ラジェンドラは船外に強制的にテレポートさせたりと、昔はみんなやりたい放題だったのになぁ。
今作の主役(?)のゲラン・モーチャイとリジー・レジナは一見「敵は海賊・海賊たちの憂鬱」のマーマデューク夫妻を髣髴とさせるけれども、モーチャイの小者っぷりはシリーズ中に例を見ない程。逆にリジーの方は匋冥にも匹敵する大物っぷりに、「敵は海賊・海賊版」のシャルファフィンを思い出してしまいました。
ストーリーは「敵は海賊・海賊たちの憂鬱」をスケールダウンしたような感じ。どうもセレスタンが出てくると俗な話に(常識的とも言うが)なるせいか、世界観がスケールダウンしていきますね。元々神様やら妖精やら異世界やらなんでもありの世界だったんですけども。中盤まで解決の決め手が与えられず、もしかして分冊?とか思ったりしましたが、ラストの戦闘シーンで一気にかたを付けられてしまって、少々がっかり。せっかくベスタ・シカゴが舞台なのになぜジュピリーが出てこない?もったいないなぁ。
初期からのファンとしてはやっぱりサベイジのバー軍神で匋冥がグラスを傾けながらオールド・カルマに話を聞かせるシーンがぜひ欲しいところ。
それにしてもラテルはちゃんとパメラと付き合ってるのか。また海賊課の日常を描いて欲しい。
神林作品としては面白かった(というかいつも通りだった)けど、「敵は海賊」シリーズとしてはちょっと物足りない。
- 作者: 神林長平
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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