ストーンヒートクレイジー

ストーンヒートクレイジー
著:三上康明/イラスト:よし☆ヲ
発行:スーパーダッシュ文庫集英社
ISBN:4086303213
評価:★★★


天才ドームスターが発明した「機石」は蒸気機関の動力を飛躍的に高め世界を変えた。しかし、その息子のドミは逆に機石を嫌っていた。ある日ドミは父の機石を国に差し出すよう迫られ、どうするべきか悩む。親友のアームが不審な行動を取る中で、偶然出会った機石技術者の少女・リピルと触れ合い、ドミの心に眠っていた機石への想いが揺れ始める…。無鉄砲な少年たちが信じる「人間の力」のキセキ。ぶっちぎりファンタジー、ロケットスタート!

もったいない。キャラの熱さや想いはよく描けているので勢いに任せて最後まで楽しく読めました。が、面白そうな要素は盛り沢山ですが、消化し切れてないです。とくにヒロインの背景がはっきりしないのは致命的かな。読み終わった後に結局アレは一体なんだったのかと消化不良を感じました。あと、せっかく「機石」というオリジナル要素を組み込んだんだから、もう少し「機石」が利用されている社会を描いて欲しかったです。失業云々というネガティブな面は話に組み込まれているんですが、主人公たちの目的でもある「機石」を使った明るい未来が見えないというか。うーん、やっぱりネタを詰め込み過ぎですね。
そのせいもあって明らかに話が落ちていないんですよね。新人賞のコメントでも出てましたが、そのまま出版されたということはシリーズ化もありなんでしょうか。
描写とか表現は自分に合っていたので、今後の作品も期待できそうです。ただ。もう少し要素を整理して話をまとめる構成力をつけてほしいですけれども。