ラジオガール・ウィズ・ジャミング

ラジオガール・ウィズ・ジャミング
著:深山森/イラスト:BUNBUN
発行:電撃文庫メディアワークス
ISBN:4840235058
評価:★★★


あらゆるメディアの展開が禁じられている西部シムカベル市の夜を、機材抱えて駆ける少女・レコリス。内緒の彼女の正体は、禁じられているラジオ放送を市民のみんなに届ける、ウワサの“怪人”−J・O・L海賊放送局!
 今夜も静かな屋根の上で繰り広げられるのは、なんとか“怪人”を捕縛しようとする軍と、身軽な彼女の追いかけっこ。もちろんそっちも大変だけど、街の全土を巻き込んだ、さらに大変なことが彼女の上に降りかかろうとしていて……!?
 新シリーズの登場です!

各所で評判の高い本書ですが、自分にとっては、うーん、普通ぐらい?なんというか、木曜洋画劇場の日本未公開映画って感じがどうしても取れなくて。いや設定は凝ってるし、ストーリーはやや子供向け的なんだけど(ここに隙があるのかな)、結局ライトノベルでしかないわけで、今作ではそれが世界設定の甘さに出ていると思います。テーマは盛りだくさんなんだけど、この辺のチープさがB級映画っぽいというか。
特に軍隊の書き方が日本人だなぁと。コレ、アメリカならよくて州兵、普通なら自警団として描かれるレベルでしかないもんな。あと爆弾魔がリモートの起爆スイッチしかセットしないことにも驚き。爆弾のスペシャリストなら普通、センサーとタイマーとで必ず起爆するようセットするでしょう。薀蓄から、作者は電波(ラジオ)に詳しいようですが、市街地では電波が遮蔽されることなんて当たり前なのに、なんというか、こう隙が見えてしまうんですね。

ということで、瑣末な点を気にしなければきっと良作。ミリオタ系は多分ダメではないかしらん。
まぁ、それ以上に心配なのが帯に新シリーズと書かれていることか。コレは絶対続編を出さないほうが幸せだと思うんだけどなぁ。

それにしても、海賊放送ってフレーズを見て、最初に「エレバン放送*1」が浮かんでくるってのはどうなんだ?

*1:共産主義ジョークの題材として有名な、架空の放送局。「戦車とはなんですか?」「戦車とは交通手段であり、ソ連兵士が兄弟諸国への友好的訪問に利用するものである」というようなQ&A方式のジョークで、アルメニアのエレバン放送局が聴取者の質問に答える形式を取っている。よくあるジョークについてはWikipediaをどうぞ。