タザリア王国物語 影の皇子

影の皇子
著:スズキヒサシ/イラスト:あづみ冬留
発行:電撃文庫メディアワークス
ISBN:4840234868
評価:★★★★


小国ひしめきあうバルダ大陸。そのひとつ、タザリア王国の片隅て。今、ひとりの少年が王宮へと連れていかれようとしていた。その瞳に聡明な光を宿す彼の名はジグリットといった。彼はこの国の皇子とまったく同じ顔をしていたのだ。
出自の悪さゆえ、王宮では蔑まれる彼だったが、その明晰な頭脳が認められ、皇子の影武者として育てられていく。皇子と同じ知識を学び、同じ武術を学ぶ。次代の王となるに必要なすべてを−。
そして転機がやってくる。「双子の月の片方が砕ける」という不気味な予言。それが現実となる時、ジグリットは歴史の渦にのみこまれていくのだった!

帯からも単なる「王子と乞食」だと思っていたら、思わぬ伏兵が!リネア皇女万歳!それにしても影の主役とも言うべきリネアのイラストが無いのは何故?
後書きで戦記ものと書かれているが、今巻ではあまり戦闘は1シーンのみ。子供の浅知恵に対していい年した将軍どもが首肯するのはものすごく違和感を感じるし、リネアという強力な武器を手にした今、このままほのぼの宮廷アドベンチャーな方向で推し進めたほうが絶対によさそう。リネアには、影に日向に暗躍してほしいところ。アウラに少女神と他にも駒はあるし、口絵の地図を見る限り色々考えていそうなので、料理の仕方次第で今期の名作になれそうな。とりあえず2006下期オススメの第1候補。
ちょっと展開が早過ぎる気もしないでもないが、これからどうなっていくのか非常に楽しみな作品。

けど絶対にタザリア王は暗殺されるだろうな。