狼と香辛料2

狼と香辛料 2
著:支倉凍砂/イラスト:文倉十
発行:電撃文庫メディアワークス
ISBN:4840234515
評価:★★★★


狼神ホロとの二人旅を続けることを決めた行商人ロレンス。港町パッツィオでの銀貨騒動で儲けた上等な胡椒を武器に交換し、異教徒の地への玄関口、北の教会都市リュビンハイゲンで大きな商売を仕掛けた。しかし思いもかけない謀略に嵌ってしまう。賢狼を自称するホロでも解決策はすぐには見つからず、時と運にも見放されたロレンスは、商人生命を絶たれてしまうほどの窮地に。
 何とか秘策を思いついた二人は、リュビンハイゲンへ向かう途上で出会った羊使いの少女にある任務を託すのだが……。
 第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞作第2弾。

賢狼ホロの魅力は1巻よりもさらに磨かれてますね。まさに花魁のごとく、甘えてみたり、甘えさせてみたり、泣いてみたり、好きと言わせてみたり、抱きしめさせてみたり、やきもちをやいてるふりしたり、もうロレンスは手玉に取られっぱなし。ただまだ本気の喧嘩が出来るほど互いに信用できていなくて、戸惑ってみたり。食べ物で釣る以外にロレンスに勝ち目はなさそうです。これからのイチャイチャ漫才が楽しみです。
まぁ、二人っきりの道中が面白いのはいいんですが、ストーリーの方は1巻の銀貨騒動から経済ネタでいくのかなと思ったら、経済風アドベンチャー?と化してますね。ロレンス青臭すぎやしませんかね(ホロはそのあたりに惹かれている気もしますが)。まず、相場の乱高下に乗っかるんでも無い限り、信用取引までして武器での1点勝負はないでしょう。まるでリスクヘッジを考えてませんね。全然堅実じゃないし。嵌められたというより自ら穴に入り込んだというか。それに密輸も、輸送手段なんてどうにでもなるんで、むしろ持ち込んだ後にいかに現金化するかが商人の腕の見せ所でしょう。特定の商人だけが優遇されているようなので、下手に売りさばけばすぐに足がつきそうですし、無理に売り込めば二束三文で買い叩かれてしまうし。
行商人といってる割には、ただの運搬業にしかなっていませんが、もう少し商売をやってほしいかも。商売の醍醐味は供給過剰なところで安く買い叩き、不足しているところで高値で売りさばくWin-Winなところだと思うんで。
ノーラは今巻限りのゲストキャラぐらいに抑えてほしいですね。下手に三角関係とか始めると、足を引っ張るばかりになってしまう気がします。