天国に涙はいらない(11)メイドの途の一里塚

天国に涙はいらない 11著者:佐藤ケイ/イラスト:さがのあおい
発行:電撃文庫(メディアワークス)
ISBN:4840231265
評価:★★★

 悪魔っ娘たまの漏らした妖気の犠牲者となった人たちの墓参りに行こうと、夏休みを利用して出かけた賀茂一行。
 とある町の墓地に来た時、すぐ隣に怪しい気配漂う朽ち果てた洋館を見つける。賀茂たちが調べてみようと近づくと、無人だと思っていた廃屋の中からメイド服に身を包んだ少女が現れて──!?
「お蘭」と名乗った彼女はこの屋敷の女中で、留守を一人で預かっているという。主人の客だと誤解された賀茂たちは泊まっていくよう執拗に引き留められるが、実はお蘭の正体は人形で……!?
 遂に登場メイドさん。でもただのメイドさんじゃないよ

いつも激しくネタバレなので注意。
今回は泣き系のストーリーなので、いつものお馬鹿なノリは影を潜めているし、萌え話もほとんど無いので、「天国」シリーズファンには物足りないんじゃないでしょうか。、自分は「忠犬ハチ公」的な話に滅法弱いので楽しめましたが。お蘭が付喪神なせいで、全く融通が効かない分、益々そのどうしようもない気持ちが切なくなって。またラストシーンもいいです。普通だと大体使命を果たしたご褒美に願いがかなうというパターンですが、そこは「LAST KISS」の佐藤さん、一度完全に気持ちがくじけてしまってから、というのもたまりません。容赦ない泣き話はやはり上手いなぁと。
サブタイトルでメイドと謳ってますが実際はほぼ女中さんもしくはドール属性。ドリルは萌え要素なのか?
時代劇好きな自分には、女中の話は言われればそうだと思えました。江戸時代の女中と下女では全然違いますもんね。女中=武家屋敷や大奥に奉公する未婚女性。下女=商家などに人身売買同然に売られる女性。
新規属性も厳しくなってきたかな。そろそろ葉子の復活希望。