世界最大のこびと2 世界最小の再会


著者:羽田奈緒子/イラスト:戸部淑
発行:MF文庫J(メディアファクトリー
ISBN:4840111766
評価:★★★

パウエルが里に帰ってひと月後。一弥の通う宝稲高校では、体育祭の準備が進んでいた。ところが、リレーのバトンがきゅうりにすり変わったり、教室がピンクに塗られていたりと、いたずらとも怪現象ともつかないビミョーな事件が起こりはじめる。話を聞いた小百合は「魔法みたい」と喜ぶが、一弥は「もう非日常的なことには関わりたくない……」と迷惑顔。だが、いたずらの濡れ衣を着せられた女子・木乃葉たちが真犯人捜しを始め、一弥も振り回される羽目に。一方、小百合は、パウエルたち久那斗の民の仕業ではないかと考えて、彼らをよく知る里美を訪ねる。
現代に生きる「こびとさん」パウエルが運ぶ、ほんわかファンタジー。

1巻のドラスティックなストーリーに比べると、だいぶまったりした雰囲気になっていて、きっとこの作品が目指す方向に向かっているのは分かる。ちょっとパウエルの精神年齢が幼すぎる気もするが(純真さを出したいのはわかるのだけどね)。ラスト近辺で、どうもキーパーソンになるのが一弥っぽい感じ。話を進めるのが小百合で、解決するのが一弥という風になりそう。
ちょっと気になったのがストーリーの乖離。パウエルを中心とした話と、一弥を中心とした話が平行に進むが、それがラスト直前までぜんぜん絡んでないと感じる。今回は小百合と一弥がほとんど会話しないからだろうか。最後に2本のストーリーを無理やり引っ付けた漢字でいまいち。
雰囲気は好きなので、多分次巻も買い。