白き峰の男

白き嶺の男 (集英社文庫)

加藤武郎は、その類稀なる体力と判断力、そして登攀の技術で伝説のクライマーとなる。活動のフィールドも、日本の山々からヒマラヤへと広がっていく。限界の中で死と向かい合い、山に人生を賭ける男たちの熱い想いを余すところなく描ききった山岳小説の傑作短編集。一九九六年の新田次郎文学賞受賞作。

古本屋で偶然発見、小学校の頃から山岳小説や極地探検モノなんかが大好きでしたので、迷わず購入。
「航空宇宙軍史」シリーズの「惑星CB-8越冬隊」を読んでいて、谷甲州の山岳小説はいけるだろう踏んでましたが大正解。ラノベの戦闘には飽きてたところに、この圧倒的な大自然に立ち向かう男たちの熱い命のやり取りを読んで久しぶりに面白い小説を読んだと感じました。登場人物は男ばかりで女気なんてかけらもありませんが、やっぱり冒険モノには恋愛沙汰はいらないなと再確認させられました。
最近はラノベばかりだったんで、久しぶりに他ジャンルの小説を読むと表現力の豊かさ、豊富さに圧倒されてしまいます。
谷甲州作品ではどうしてもスピリチュアルな設定が入りがちですが、この作品は本当に純粋に山岳小説な上、短編集という読みやすい形なので、ライトノベラーな方や谷作品未経験者にもお勧めです。
短編集なので話のスケールは小さめです。もっと大きなスケールの作品がよければ前述の
「惑星CB-8越冬隊」もお勧めです。ちょっと設定にSFが入ってますが、基本的には極地探検モノです。