ご愁傷さま二ノ宮くん


著者:鈴木大輔/イラスト:高苗京鈴
発行:富士見ファンタジア文庫富士見書房
ISBN:4829116447
評価:★☆


 災厄はチャイムとともにやってきた。平凡ながらも平和な毎日を送る、ごくごくフツーの高校生・二ノ宮駿護の家へやってきたのは見知らぬ兄弟。「はっはっは今日からお世話になるよ」
 ヒトの迷惑なんのその。兄はヘンジン、妹の真由はおとなしそうな究極美少女。いったいどうして、いやそもそもあんたら誰?だいいち、年頃の男女が一つ屋根なんて美味し、じゃなかった倫理に反する――などという駿護の叫びは届くはずなど、もちろんなかった。
 しかも!実は真由、男性の精気を糧に生きるサキュバスだったのだ!!そのくせ男に囲まれただけで失神するほど重度の男性恐怖症。触れれば天国、吸われて地獄。こうして二ノ宮くんのどきどきムラムラな受難の日々は始まった?
 第16回ファンタジア長編小説大賞佳作のときめき吸愛ファンタジー!

第16回ファンタジア長編小説大賞佳作作品。淡白な萌え小説。奥手な男子とおとな系美少女とテンプレート通り。文章は読みやすいと思うが、描写が弱いと感じた。口絵を見ずに読んだところ、主役2人以外の外見は全くイメージできなかった。どうもサブキャラのはずの駿護の姉と、真由の兄のキャラクターが強すぎ、さらに恋愛部分では片方が意識を無くしてたりと、あまり恋愛部分で盛り上がっておらず、あらすじにある「ときめき吸愛ファンタジー」は看板に偽り有りだと思う。スラップスティックな展開はほぼ無いし、結局精気も吸われないし。主人公駿護は堅物キャラなんだと主張しているが、どうも姉の暴力に怯える描写の方が残ってて、ただのヘタレ野郎に見えてしようがない。あとがきによると、第二稿は毒々しいモノだったらしいので、本作のキャラクターから考えると、そちらをメインに描いた方が面白くなりそうな気がする。