ぴよぴよキングダム


著者:木村航/イラスト:竹岡美穂
発行:MF文庫J(メディアファクトリー)
ISBN:4840111596
評価:★★

 高校生森山拓は、ある朝目を覚ますと……頭の上に『ヒヨコ』が住み着いていた。『ヒヨコ』は高次元生命体ピッチパッチのピックルと名乗り、拓の頭を領土として宣言。伝統にのっとり、この未開の惑星・地球で恋をするのだという。お相手は美しく慈愛にあふれたチュルリラ姫? とりあえずピッケルを頭に載せて登校した拓を待っていたのは、チュルリラ姫と、姫の領土になったクラスメート・磐座あかりだった!
 ピッチパッチの恋の儀式のために、あかりに近づく拓とピックルの前に、大富豪の御曹司と『融合』したピッチパッチ、『ブラ麿』が現れ、恋の行方は混沌と……。
 クールな笑いとほんわか涙がいっぱいの、ファンタジック学園SF登場。

代理恋愛モノ?とでも言えばいいのか、主人公本人は恋愛感情が極めて希薄なのに、他人のために付き合うと言った感じ。着眼点は変わっていてよいと思う。ただ、無駄なものが多く、必要なものが足りてない感じ。世界のお偉いさんなんて、かなりどうでもいいし、トラウマっぽい母親の死には全然触れないし、なりより主人公のキャラがほとんど動かない。むしろピックル視点で進めた方が面白かったのではないだろうか。それにしてもチャプターが変わる際、描写不足からか、前後のシーンがつながっていないと感じたところが結構あった。また、この作品では視点変更を多用しているが、シーンごとに視点が変わっており、話の流れが掴みにくいはそのせいか?多重視点の面白みって同じシーンを複数視点から見ることにあるのでは。